「「…………」」
恥ずかしさのあまり
互いに何も話せないでいるみたい。
私から、何か言うべきかな。
なんて考えてたら先に向こうが口を開いた。
「ま、まあさ、俺は江田みたいに鈍くないから
もう気づいてるけど、
さっき
俺の言葉を勘違いしたと言って泣いたのは、
何で?」
改めて聞かれたせいか、
走ったせいもあってか、
心臓がありえないくらいなってる。
いつもこの緊張に負けて
ツンツンしちゃうけど、今は――!
「さ、さっき、他の子にチョコもらってた時、
逢坂が『嬉しい』って言ってたから……!
あれ、私が本命あげたら嬉しいって言ってたの、
もしかして対象私じゃなかったのかなーって!」
「……つまり?」
曖昧に答える私を
逢坂は見据える。
「わ、私がマフィンあげた時より嬉しそうで
顔も赤くなってたし、
私実は全然意識されてなかったんじゃんーって!」
「――だってお前あれ義理だって言うから、
そんなんで本当は義理でも
めっちゃ嬉しかったの表に出すのしゃくじゃん」
さらっとそんなこと言われても!!
「そ、それでも!
私は、私のあげたチョコマフィンの方を
より喜んでもらいたくてっっ」
「要は?」
私はついに観念して、
実は徐々に近づいていた逢坂の顔に身体に
緊張しながらも
その大好きな人に向き合った。
「……あれっ、本命チョコだったの!!
本当はっ!」