改めて聞かれて考える。
シン様の印象は綺麗な人で優しくて。側にいると緊張するけど、きっと悪い意味じゃない。
「上手く言えないんですけど、家族とは違うし、実家の料理屋にきてくれるお客さんとも違う。優しくて、でも近くにいると緊張してしまう、そんな感じです」
「まあ! 本当ですか!」
「え……っ?」
急に大きな声を出したラナさんが私の両手を取り、不思議に思ってしまう。
ルーナさんが咳払いをすると何故か慌てたように手を離してしまってますます不思議で。
「ラナさん……?」
「休憩してしばらく経ちましたから、またお店を回りましょう?」
「私行きたい所があるんです」とベンチから立ち上がったラナさんが私の手を引いて立たせるものだから、疑問はうやむやなまま再び歩き出すのだった。
***
あちこちのお店を回り、ルーナさんからそろそろ戻る時間だと知らされた私達は最後に一軒の雑貨屋さんへと足を運んだ。
木製の建物は温かみがあって商品は可愛いものから実用性があるものまで様々。見ているだけで楽しくなる。
色々なものを見ていると二つの商品に目がとまった。
二つの商品はペンダントで、金色の太陽の形のペンダントトップと銀色の月の形のペンダントトップがそれぞれついている。
太陽には青色の、月には赤色の石のようなものが端のほうに一つ埋めこまれていた。
「お嬢ちゃんお目が高い! それはシン様とルーチェ様をイメージしたものだよ」
「可愛いだろう?」とお父さんくらいの年で体格のいい男性が笑う。
確かに太陽はルーチェ様、月はシン様にピッタリだと思う。――ルーチェ様は近頃分からないけれど……。
「ウチの息子が作った一点ものだが買ってかないかい?」
一点ものという言葉に迷う。――実は好きなものを買うようにとみんながシン様からお小遣いをいただいている。
でも私は申し訳なくてほとんど使えずにいた。
「まあ。素敵なペンダントですね」
買い物を終えた様子のラナさんが袋を手に持って明るい声で言う。
「これを買うのですか?」
ラナさんの手で持ち上げられて揺れる月を眺めながら、私は曖昧に返した。
ほしい気持ちはある。でもペンダントは値が張っていてお金を使うのは気が引けてしまう。
迷っていると「カルちゃん……?」と呼ばれて後ろを振り返った。