勢いよく開かれたドアの前に立っていたのは、
スーツ姿の姉。
長い髪をポニーテールにピシッとまとめている。
もう仕事に行くのだろうか。

「おはよ~お姉ちゃん」

布団から出たくない私はその中から声を出した。

「まだのんびりしてたのー?もう時間とっくに過ぎてるよ!早く準備しないと」

ベッドまで近づいてきて私と同じ目線の高さになって言ってきた。

「分かってるよぉ。もう起きるから!!お姉ちゃんも遅刻しちゃうよ。仕事でしょ?」
「あ、ホントだ。こんな時間。じゃあね優愛、もう行くね」

うん。と返事した私の頭を撫で、立ち上がった。

「お弁当、下のテーブルに置いてるからね」
「うん、いってらっしゃい」

姉はにっこり微笑んで、パタンとドアを閉めた。
それから数秒後、玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
________ 行っちゃったか…。