学園の門は、新入生やら保護者やらで
溢れている。
私は、門をくぐった。
私立の学校に来たのは初めてで、
周りから見れば挙動不審な行動をしていた。
右、左を交互に観ながら下駄箱の所に行く。
私のお兄さんになる人は
「下駄箱の前で待っているからね。」
母が今朝そう私に言ったので、
私は着くなり、その人を探し始めたが一分で断念せざるえなかった。
どこを見ても人しかいない。
こんなところから探すのは無理だ。
そう思った私は中庭の方へ歩き出した。
学園の内部は、広すぎて迷ってしまった。
やっとのことで中庭に着いた私は、
思わず目を逸らしてしまった。
多分カップルであろう二人が
イチャイチャしていたのだ。
「ねぇ、今日も他の人と遊ぶの?」
女の人の方が聞く。
「今日は、父さんから妹になる女の子が学園に入学してくるから
面倒見てくれって言われたんだよ。」
男の人が応える。
私にとっては大事なことを話していた。
だが、私は全然会話を聞ける状況じゃなかった。
だって、会話の最中にキスをするんだもん。
私は中庭から逃げ出すように走った。
すると、後ろから呼ばれて振り向く。
そこには、さっきの男の人が立っていた。