「お、おはようございます」

「石谷さーん、今日は遅かったねー」

「時計が止まってたみたいで…」

「なるほど…。じゃぁ、罰としてこの資料コピーお願いします。」

「は、はい。」

会社についたのが時間的にはいつもの5分おくれ
だけど遅刻はしていない。
つまり仕事の始まる5分前なのだ。
これは罰というより、元から私にコピーを頼みたかったのか
それとも誰でもいいからコピーを取って欲しかったのか

なんか考えるのも面倒くさくなり
私は自分のデスクに荷物を置いて
部長に頼まれた資料をコピー機セットした。

「朝から災難でしたね。」

私のデスクの横の酒井くん。
私の後輩にあたる人だ。

酒井くんはニコッと笑いながらも
少し意地悪そうな顔をした。

「うるさい。黙って仕事をやる。」

「はーい。」


私が働いているのは
家からすぐ近くのオフィスビル。

部長は細柄の50手前そこそこって
感じの気さくな女性だ。

私がいるのは営業部署で
化粧品のサンプルなどを
奥様メインに自宅訪問で無料で渡している。

最近店の売れ行きは上々で
部長の機嫌も最近明るくなった気がする。