でも、自ら命を絶つ勇気は無かった。
死ぬことは怖かった。

何処か遠くへ行きたい。

思い立ったらすぐ行動する夢子は、あてのない旅を始めた。

「とりあえず、着替えて何処か遠くへ行こう。」

目的地も決めずにとりあえず電車に乗った。

昔から海や山など自然が好きな夢子は、とりあえずこの東京を離れて何処か自然豊かな所へ行きたくなった。

母親が心配するといけないと思いとりあえず、「旅にでます、お土産も買ってくるよ」とメールを入れた。

母親にはまだ仕事を辞めたことは言っていなかった。
言えなかったと言った方が正しいか...
また辞めたの?と責められるのが怖かった。

逃げてばかりだな...
自称気味な笑みをこぼし、スマホをポケットにしまった。

「海へ行こうかなぁ・・・」
そう呟いた頃には、土砂降りの雨が止んでいた。