嫌だ…

やめてよ…

なんで…?

神様


もし、いるのなら…



私に愛をください。







ピピピピピピ…
目覚まし時計の音で目が覚める。

起きるのか…
目覚まし時計を止めて音を立てずに部屋をでる。
お母さんがいないみたい…
どうせまた、男の所にでも行っているのだろう。
お母さんに反抗する気持ちで染めた
赤毛をとかしながらそう考える。
鏡を見ると自分の顔がある。
私の顔には表情がない。
喋っていても感情が宿らない。

小さい頃にお母さんは離婚。
その後からが地獄だった。

母からの虐待。
小学生の頃なんて酷いものだった。
顔をよく殴られ、学校に行けない日もあったぐらい。
高校生になった今、母は私を居ないものとして扱っている。
勿論、友達もいない。
人に感情を抱くのはもうやめた。
抱いたところで
どうにもならないじゃない。
虚しいだけだ。
朝食など食べない。
バイト代で昼食と夜食を買うぐらい。

「行ってきます」
そう言い家を出た。
学校…サボってしまおう。
そう考え、学校に行く道とは反対の方に向かって歩いた。

しばらく歩くと結構人通りが多い通りに出る。
この辺はヤンキーとかがいっぱいいるので、あまり治安は良くないと思う。

喧嘩でもあればそこに行きたい
昔から喧嘩ばかりしてるせいか、
喧嘩が強くなった。
ほとんどの喧嘩相手はヤンキー。
族とかは面倒だから。
そんなことを考えていたら、
男にぶつかった。
「すみません」
そう謝ったが許してくれるか…
「すみませんじゃねぇだろ?!」
やはり喧嘩腰。
ウザったい。
「何か?謝りましたよね」

「何かじゃねぇよ!!」
ブンッー…
男がいきなり、殴りかかってくる。
それをかわすと、余計怒ったみたいだ。
しかたない…
ドゴッー…
男のみぞおちに一発入れる。
「ぐ…ぉぉぉ」
呻きながら男は倒れた。
雑魚過ぎてとてもつまらない。

パチパチー…
どこからか、複数人の拍手が聞こえる。

後ろを振り返ると、ピンクの髪と、
金髪の髪と、青い髪の男がいた。

「何ですか」

そう言うとピンクの髪の男が
「君すごいね~!やっぱり、女の子の喧嘩って華があるよ!」
ピンクの髪の男は可愛い系なのだろう。

金髪の男は結構…かっこいい…

青い髪の男は知的なイメージが付いていた。

「確かに…それに君、可愛いし。」

青い髪の男のイメージは一瞬にして崩れる。
ナンパか…
チャラい…チャラ過ぎる…
と言うより、
「貴方達は?」

「僕~?僕は荻原 蓮だよ~よろしくね~」
ピンクの髪の男がそう言ってから、
青い髪の男が自己紹介を始める。
「俺は相馬 俊。よろしくね。かわい子ちゃん」
「チャラい」
思わず口に出してしまう。
「即答?!」
俊と言う名前の男は驚いたように言う。

それに対して蓮と言う男はクスクスと笑う。
「笑うな蓮!」
俊は顔を真っ赤にして怒る。
イマイチ、俊と言う男の性格が掴めなくなっていた。

「俺は高坂…雅人だ…」

ギャーギャー言ってる2人を放って置いて、金髪の男は名前を言った。
高坂…雅人…
荻原…蓮…
相馬…俊…

この三人…どこかで聞いたことあるように感じる。
「お前の名前は?」
雅人と言う男が私の名前を尋ねてきた。
「私は…本堂 柚葉」
「へぇ~柚葉って言うんだ~顔に合う、可愛い名前じゃん」
連という男はそう言って微笑む。
可愛い顔してナンパ口調。

「みなさんは何で私なんかに話しかけて来たのですか?」


「実はスカウトにしに来たんだ」
雅人とか言う少し感じの悪めの男が
そう言ってきた。
それより、ス…スカウト?
「艶龍…って言う族って知らない?」
俊が言ってくる。
艶龍…No.1の族だ…
そんな族が私をスカウト…
「なぜ?なぜ私?」
「強いから」
雅人が即答する。
「そう。別に入ってもいいのだけれど…」
そう言うと蓮の顔が輝く。
「いいの!?ヤッター!!」
どうせ…毎日喧嘩に明け暮れていたのだから今、族に入っても大して変わらないはず。
そう言えば、この三人は私が行っている高校、聖白高校にいたような…
「柚葉って、聖白高校の生徒でしょ?」
一瞬、俊に心を見透かされたと思いドキッとしたが、制服を着てるから当たり前だよな…
「そうですけど」
「やっぱりねぇ…俺たちと同じクラスだもんね」
俊はニヤニヤしながら言う。
「貴方たちと同じクラスでしたか。知りませんでした。」
「うわ~酷いよ~まぁ、数える程しか行ってないし、あったり前だよね」
あったり前だな。それじゃ。

「よろしくな。柚葉」
雅人から差し出された手。

今なら後戻りも出来る。

良く考えた。

「これからよろしく。艶龍さん。」

ここが私の再スタート。

頑張れるか…

少し不安があるけれど
頑張ろうと思った。


こんな感情が生まれたのは
生まれて初めてかもしれない。