「何回言えば分かるんだよ!!!!」
一番短気なドラマーの翔が切れた。
腕があることは確かだが偉そうな所が傷。
今にも泣きそうな顔でギターの健太は俯いた。
「全くテンポを合わせれてないじゃないか!」
大声でまた翔が怒鳴った。
ベーシストの、由紀は黙って「またか。」と思いつつ、携帯をいじっていた。
由紀は、今回このバンドにヘルプで、
(ヘルプ=「今回のライブだけ出演する」など、短い期間でそのバンドの足りなくなったメンバーを急遽お手伝いさん的な立ち位置で演奏する人)
入ったわけなのだが、このような喧嘩が続いてうんざりしていた。