私は住み込みの使用人だった。 部屋にある自分のものを一つにまとめ、 髪もおろし服はきれいに畳んだ。 今日の夜、 誰も起きていない時間帯に そっと屋敷を出ていく予定だ。 「ここの生活も悪くなかったな…」 本心なのかどうなのか、 自分にもわからないセリフが 次々と頭を飛び交う。 きっとこれは今、 本当に生きる意味を失った、 だからこそ生まれる言葉なのだなと思った。 『コンコン』 部屋にノックの音が鳴り響いた。 開けてみると、 目の前にはあったばかりの王子様がいた。