千鶴さんの言うとおりだ。
和夏という名前の裏側にそこまでのドラマがあったとは……
涙が一筋頬に伝った。
「おい、泣くなよ!美鶴代さんまで……」
お兄ちゃんの話に、わたしだけでなく、
「海翔くんのせいでしょ!感動したんだからいいじゃないの!!!?」
美鶴代先生が憎まれ口を叩きながらハンカチで涙を拭っていた。
号泣する先生をお兄ちゃんが困ったように宥める様子は微笑ましくて、ふたりはお似合いのカップルだと思った。
年齢差やこれからのこと、障害は色々あるけれど、ふたりのこと、きっと乗り越えていける……そんな気がした。
「それじゃナナちゃん、何かあったらナースコールで呼んでね」
「明日また来るから、しっかり寝ろよ」
涙が止まらない先生をお兄ちゃんが伴い、病室を後にした。
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