「ナナ、お前は受験生なんだぞ?恋に夢中になってる場合じゃないのわかっているよな?

福山歯科医院の存続はお前にかかっているんだぞ!!!!」


と、違う意味で熱くなるお兄ちゃんに、


「そんなことわかっているよ。けど、お兄ちゃんにそれを言う資格、あるの?」


グッと言葉に詰まるお兄ちゃんに、必死に笑いを堪える美鶴代先生の様子が何とも対照的で、


「別に恩に着せるつもりなんてないし、わたしはお父さんみたいな歯科医になりたいだけなの。

だから美鶴代先生、お兄ちゃんは背ばかりムダに高くてバレーしか能のない男ですが、体力だけはあります。婿にでも奴隷にでも何でもしてやってください」


わたしの毒を含んだ言葉に、お兄ちゃんと美鶴代先生は真っ赤になった。


「全く生意気な口を利くようになったな。もうナナも18なんだよな?」


お兄ちゃんは寂しそうに笑った。



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