「あ、そうだ」


ケイくんは何かを思い出したようにバッグからラッピングされた少し大きめの袋を取り出すと、


「誕生日おめでとう」


恥ずかしそうに言った。


えっ……


もしや、それは……


バースデープレゼント!?


家族以外の男の人からのプレゼントは初めてだ。


「あ、ありがとう」


嬉しくてそっと胸に抱きしめた。


「その中にさっきキミの後輩達が言ってたことの答えが入っている。


今日はもうこんな時間だからゆっくり休んで。明日、練習が終わったらまた来るから」


ケイくんの熱を帯びた眼差しはわたしを捉えたまま離そうとはしない。


ケイくんはわたしの顔を覗き込むように顔を近づけてくる。


恥ずかしさのあまりギュッと目を閉じた瞬間、額に温かい何かが触れた。


「全国大会、ナナちゃんも一緒に行けたら楽しいだろうな」


ぽつりと言うと、病室を後にした。



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