「何で、父さん達まで来ているんだよ？」


不機嫌そうにケイくんが言うと、


「別に覗いていたわけじゃない！母さんと娘のしでかしたことを詫びに来たらお前とナナさんがお取込み中で入れなくなってしまったんだよ」


さすがケイくんのお父さん、スーツがよく似合うナイスミドル。


だけど、お取込み中って……


結局は覗いていたということよね……。


「ナナさん、美鶴代と千鶴と慶介の父で当院事務長の幸坂宝（ｺｳｻｶﾀｶﾗ）と申します。

千鶴の勘違いであなたを傷つけたこと、お詫びさせていただきます。ほらっ、千鶴も謝りなさい！」


頭を下げるお父さんの隣で、


「ナナさん、慶介の母で当院院長の幸坂栄（ｺｳｻｶｻｶｴ）と申します。

千鶴のこと、本当にごめんなさいね。ほらっ、千鶴も笑ってないで謝りなさい！」


白衣姿のお母さんは、美鶴代先生を筆頭に３人も子供がいるようには見えないくらい若く、肌も綺麗で……美魔女とはこういう人のことを言うのだろう。


しかも、宝に栄……


やはりご両親も縁起の良い名前だった。



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