「何してんのって聞いてんだけど」



もう一度優の声が聞こえた



その声から少し怒っているのが分かった



……てか、優は小林先輩といたんじゃねぇの?



なんで…いんの?




「何って…一種のけじめかな」



「あっそ。
とりあえず凛離せ」



「やだ」



「離せよ」



「嫌だね」



まるで幼稚園児みたいな会話をする2人



私はどうすることもできなくてヒロの腕の中に収まっていた



「…凛もなんか言えよ」



あら



私に話を振るなぁ!



「……ヒロ、離して?」



私がそういうと、ヒロはすんなりと離してくれた



「凛、帰るぞ」




ヒロから離れた途端、優に腕を掴まれ強引に引っ張られた



「ちょ、優!?」



「黙ってろ」




「は?え、あ、ちょ、ごめんヒロ!
話聞いてくれてありがとうね!」



私は慌てて小さくなっていくヒロにお礼を言った




ヒロは優しく笑って手を振ってくれた




「優!離して!」



優に掴まれた腕がジンジンと熱い



そして心臓もドキドキと高鳴っている




はぁ、マジで私病気だ…




って、病気じゃないんだっけ





「……。」





「無視するなぁ!」




私の言葉を無視して黙々と歩く優




………なんで優はこんなことしたんだろう




なんでヒロに離せって言ったんだろう



なんで、あの公園にいたんだろう




なんで小林先輩と一緒じゃなかったんだろう





いろいろな疑問が私の頭を支配する



これ、病気じゃなかったら何なの!?




なんでヒロは教えてくれなかったのさー!




「いでっ」



私は突然止まった優の背中に思いっきり鼻をぶつけた



気づけばもう家の前だった





「いったいなぁ!
急に止まんなよ!」



私がそう言うと、クルリと優が後ろを向いた




「神崎と、何してたの?」



は?



突然そんなことを言われてきょどる私




「え、あ、何って、話、聞いてもらってただけ」



「なんの話?」



なんの話!?



言えるかよこんなとこで!



「………言えない」



「なんで」





「…なんでも」




「神崎には言えて、俺には言えないことなの?」



っ……




私を見る優の瞳が、少し悲しげに揺れた




「……キするんだよ」




「え?」




「優といるとドキドキするんだよ!

それだけ!」




私はそう叫ぶと家の中に飛び込んだ



だからそのあと


「…不意打ちすぎんだろ……」


と、優が右手で顔を覆いながら呟いてたなんて私は知らない