私は恋の香りが入った紙袋を大事に抱えて席へ戻る



「おい、あいつ誰だよ」



「ヒロだけど」



私はそう聞いてきた優に返す



誰って、ヒロじゃんね?



「だから、そのヒロって奴が誰だか聞いてんの」



「…優には関係なくね?」



なんだか不機嫌そうな優



「……俺にはあんの」


ブスッとした顔でこちらを見る



何それ、意味わかんないんですけど



「はぁ…ヒロは同じ実行委員で、友達になってって言われたからなっただけ」


「…それだけか?」



「それだけだけど?」



少し拗ねたように聞いてきた優



「そっか…」


その姿にキュンときたってことは秘密にしておこう




心臓の高鳴りを抑えるために優から視線を逸らした私には


「よかった」と小さく呟く優の言葉は聞こえなかった