「おい、あの人だかり、お前のせいかよ」
席に着くなり隣に座る優に言われる
「まずはおはようだろ」
親しき中にも礼儀あり、ってね
「…おはよ。
で、なんでお前そんな人気な訳?」
「知らねぇよ、そんなの。
あいつらが勝手に付きまとってくるだけ」
「ふーん、あっそ。
ほんと迷惑だわ、あぁゆうの」
「いや、私に言われてもどうにもできないし」
どうにかできたらしてるし
「まぁ、そっか」
そう言って黙り込む優
ボーッと窓の外を見つめている
「なぁ、翔也
最近優の奴おかしいと思わないか?」
わたしは優の前の席に座って私たちの会話を聞いていた翔也に聞く
「もとからだろ」
「あ、そっか」
「おい、俺はおかしくないぞ」
「あ、優。いたんだ」
「おい」
何気に仲のいい優と翔也
翔也を怒りながらも笑っている優の笑顔はいつもとは違う、そんな感じがした
言い合いをしている2人を見ているとなんだか微笑ましい
「凛ちゃん、神崎くんが呼んでるよ」
不意にクラスメートの女子に呼ばれ、ドアに視線を移すと、ヒロがたっていた
「ヒロじゃん。どうしたの?」
私はそう言いながらヒロに近づく
「あ、いや…昨日はほんとごめん。
俺のせいで凛にまで怪我させちゃって」
そう申し訳なさそうに言うヒロ
なんだ、そんなことか
そんなこと言うためにワザワザここまで来てくれたんだ?
「だいじょぶだいじょぶ
あんなの事故だし、しょうがないよ」
私は微笑みながら言った
「でも…怪我させちゃったのは俺だし…
お詫びと言っちゃなんだけど、これ、あげる」
そう言って差し出された紙袋
「…どーも」
私は遠慮がちにそれを受け取る
「凛の好みとか分かんなかったから口に合うか分かんないんだけどさ
まずかったら食わなくていいよ!」
そう言われ、ガサッと中身を出すと
「え、恋の香りじゃん!
私、これ大好きなんだよね!」
私の大好物の恋の香りが入っていた
「え、マジ?よかった〜。
嫌いとか言われたらどうしようかと思ったよ」
苦笑いを浮かべるヒロ
「ありがとうな、ヒロ」
私はニコッと笑い、礼を言った
「い、いやっ、別に…
じゃ、俺はこれで!」
「あ、ちょ、待てよ!」
さっき…
ヒロの耳が赤く見えたのは気のせいか?