2月14日


バレンタインは、女の子にとって特別な日。



いつもよりほんの少し勇気を出して、いつもよりほんの少し前向きになれる。


魔法の日。





「ち、千尋くん……。……いつから、あたしのこと好きだったの……?」


「お前が、馬鹿になってから。」


「ば、馬鹿になってから……!?」



……って、どういう意味……?



「……だから、つまり……。」



千尋くんはソッとあたしの耳に口を近づけて、囁いた。



『初めて会ったときから。』





甘くなんてない。


チョコも千尋くんも、みんなよりちょっぴり冷たくて苦い。



ビターなカカオチョコレート。


それはあたしが、世界一好きなもの。





【END】