離れた舌と唇。


いつの間にか息が乱れていて、何だかエッチ。


加々尾くんの顔を覗けば、加々尾くんも似たような感じ。



「……帰るぞ。」



先に立ち上がった加々尾くんに手を引かれた。



好きな人と手を繋ぐのも、今日が初めて。


キスも告白も、加々尾くんとこんなに会話が出来たのも。



「……バレンタインって、魔法の日だ。」



大きな加々尾くんの背中を見て、ソッと呟いた。



と、ある程度歩いたところで急に加々尾くんが振り向く。


一瞬、今の呟きが聞こえたのかと思ったけど違うみたい。



「……俺の名前、千尋だから。」


「え?」


「“加々尾”じゃない、“千尋”。……わかった? “みるく”。」