加々尾くんが溜息をついた。
また少しだけ、不安が募る。
でも直ぐに、その不安は取り除かれた。
「お前、まだ気づかねえの?」
「え……?」
「……天然。馬鹿、鈍感。」
散々な言われよう。
ほんの少しはショックを感じるけど、加々尾くんだから良い。
「……百瀬が、好きだからに決まってんだろ。」
その言葉と同時に、唇に触れた温かい何か。
初めての感覚。
初めてだけど、わかる……これって……。
「き、す……。」
心臓が今までに無いぐらいバクバク言って、足の力はヘナヘナと抜けてしまった。
顔もきっと、世界中の女子可愛いランキングのビリになれるほど不細工な顔をしてるに違いない。