あの時起きていて、話聞いていた……?



でも……。


「あれ、チロロだよ?」


「はっ?」



あたしの答えに、加々尾くんは目を丸くする。


少しレアな加々尾くんの表情。



「……チロロ?」


「うん、チロロ。」



しかもトイレに落としたヤツ。



……そう説明すれば、加々尾くんは珍しくいつもの表情を崩した。



「ま、まじかよ……っ。」


ふはっ、と、まるで少年のような笑顔。



めったに見れないどころか、二度と見られないかも知れないその表情に、心臓がバクバクと危険信号。



ちょっと待って待って、本当ヤバい。


そんな顔するなんて、反則……だよ……。