去って行く背中を見てハッとした。

お、お礼…



「あ、あの…!

ありがとう!!」


「……」



あれ??
聞こえてないのかな?

結構大きな声で言ったつもりなのに…




なんだか、それがちょっとモヤモヤしちゃって



気付けば追いかけ腕を掴んでいた。



「だから…


ありがとう…‼︎」



確かにお礼を言った。

次は聞こえるように、わざわざ追い掛けて言ったのに…







「邪魔なんだけど。」



「へ?」

何事もなかったかのように通りすぎる椎名柊聖。
廊下に1人、取り残されたのは私。



大丈夫だよ!
とか、
どういたしまして!
とか、


せめて、一言くらい言ってくれたっていいじゃない‼︎



「は、はぁ〜〜〜⁉︎」



蒸し暑い午後の廊下…


これが、私と椎名君の出会いでした。