第一章


退屈だ。

毎日毎日、同じ事を繰り返す。

寝て起きて、また寝る。

なんの面白味も感じない。

あぁ。けど、一つだけ。

楽しみな事があった。

午後4時半過ぎ。

いつもと変わらない声。

いつもと変わらない

「よう。」


笑顔。


「ちっす。」

「あ、日葵(ひなた)、今日はなんか元気そうだね。」

「そう?気のせいじゃない?」

そう言って笑う日葵。

日葵、俺の兄貴。
たった一人の“家族”

日葵は母親譲りで、生まれつき身体が弱い。
小さい時から入退院を繰り返してる。
双子なのに二卵生のせいか、俺は日葵とは違って昔っから健康そのもの。お陰様で風邪ひとつ引かない。
もしかしたら、俺が日葵の元気まで吸い取ってんのかな。