《如月由依side》
「ゆぅ」
…また来た
この前の一件があった後から廉くんが私のことを『ゆぅ』と呼ぶようになった。
私の嫌な過去をえぐり返すような感覚に陥りそうな毎日。
この前の熱は庵が居てくれたから良かったけど、
熱中症と軽い疲労だと保健室の先生には言われた。
今目の前にいる人のせいでまた睡眠不足で倒れそう。
どれだけやめて、と言っても絶対にやめてくれないこの呼び方
それでも私は廉くんがあの子のようになってはいけないから。
今日も限界な笑顔で対応する。
「おはよう、廉くん。」
毎回のこの対応に寒気がする、鳥肌が立つ。
それがばれないように私は梅雨が明け暑くても
まだ夏服にチェンジできないでいる。