誰からみても分かるように庵の様子はおかしかった。



目を合わせようとしない。


「庵、由依と付き合うことになったか?」


直球だった。


だがしかし、双子の兄も直球で挑み返した。


「ふられたよ」


無言の時間が続いた。




新はどうやら理解できていないらしい。


兄が失恋した、という事実に。

いや、確実に両想いだった2人が付き合わないこと が。



頭に手を当てて新は困惑した表情を見せた。


「なんで?」


「なんで も何もねえんだよ、もう会わないって言われたよ」