《如月 由依 side》
「──いっ、ゆい、由依!」
「ん、あっごめん!…えっと…なんだっけ?」
大丈夫ー?とかわいく隣の新が首をかしげる。
「課題手伝ってくれ、ってよ、新が」
目の前の庵が、アイスティーを一口飲んで言う。
「え、あぁ…って新まだ終わってないの?」
あれからすぐに、夏休みに入ってもう8月。
今日は、和樹さんのお店に庵と新と私の3人で来ている。
あれから、雑誌で取り上げられたりした(らしい)ここは、更に人気に火がついたようでお店は女の子でいっぱい。
何人かの女子の視線が庵と新に向いてるのが分かる。
2人は、気にする素振りもないけどなんだかちょっと胸がズキッとした。
だけど、その痛みの正体を私はたぶん知っているから、知らないふりをする。
きっと、認めてしまったらもう元には戻れないから。
私には、戻るべき場所がある。
気づいてしまうと、そこには戻れなくなる。
それは、だめだ。
「えー、ちょっと由依。
何それ俺をバカにしてんのー?
ってか、まだ8月の中頃じゃん!!
31日に間に合うじゃん」
「いや、お前じゃ無理。
絶っっ対間に合わねえ、間に合う訳がないだろ」
「はっ!ちょっとそこまで言わなくてもいいじゃん!」