話しかけた途端、ビクッと肩を震わせた澤田くん。
「え……?」
顔をあげた澤田くんは、眼鏡をかけたままでも分かる程目を見開いていた。
もう一度、言葉を繰り返す。
ゆっくりと、慎重に。
「澤田くんは、この本好きなの?」
ぼそっと何か言ったような気がした
だけど聞き取れない
「なんて言っ……「この本が、というより…」」
口元を手で覆いながら伏し目がちに話を続ける澤田くん。
「この作者は、絶対シリーズ化するから…
ずっと読んでられて飽きないんだ…」
言い終わった時は少し恥ずかしそうだったけど彼の作品に対する想いは伝わってきた。