学校


はるかがいつも通り授業をしている
潤平はどことなく元気がない

授業後

誰もいない職員室で
はるかが仕事をしている

カバンから携帯を取り出し

先日の
潤平からのメールを見返すはるか

『私も話しがしたい』

そう打って潤平にメールを送る

すると

ピロリンピロリン

すぐにはるかの携帯に
電話がかかって来る

潤平からだ

電話に出るはるか

はるか『…もしもし』

潤平『先生!今どこ?』

自転車に乗っていたのか
息を切らしながら聞く潤平

はるか『私は学校…望月くんは?』

潤平『今からそっち向かうから
   すぐ行くから、待ってて! 』

プチッ

突然電話を切られ
携帯を持ったまま、呆然とするはるか

――――――――――


はるかが校舎の扉を閉めて鍵をする
その背後で自転車のブレーキ音がする

振り返るはるか

肩で息をしながら
自転車を降りる潤平

潤平『よかった…メールくれて』


はるか『望月くん…この間はごめんなさい』

そう言って
潤平に向かって頭を下げるはるか

潤平『俺の方こそ…
   偉そうなこと言ってごめん』

はるかに頭を下げる潤平


はるか『私…』

はるかの言葉に顔を上げる潤平

その瞬間

はるかの目から涙が流れ落ちる

はるか『私…』

涙で言葉にならないはるか

そんなはるかを
優しく抱き寄せる潤平

胸の中で泣いているはるかを
何も言わず、包み込むように

ギュッと抱きしめる潤平

――――――――

公園


潤平『…はい』

ベンチに座っているはるかに
潤平がコーヒーを渡す

はるか『ありがと』

はるかの隣に潤平が座る

潤平『落ち着いた?』

はるか『うん…ごめん』

コーヒーを飲む二人


はるか『…私、自分でもわかってるんだ』

潤平 『ん? 』

はるかの顔を
潤平が優しく覗き込む


はるか『私、望月くんに惹かれ始めてるって…』

はるかの言葉に潤平が驚く


はるか『…だから、怖かった
 
    望月くんと一緒にいたら楽し過ぎて
    雅紀さんのこと忘れてしまうんじゃないかって
    
    でも、そんなこと思ってしまう自分が
    許せなかった…
    
    望月くんの言う通り
    どこかで雅紀さんに罪悪感を感じてたんだと思う
   
    お義母さんにも同じこと言われたの
 
    自分の人生を大切にしなさいって』


潤平『先生…』

はるかの言葉に
せつない顔をする潤平


潤平『先生、もう一回抱きしめてもいい?』

はる か『え?』

潤平の言葉に驚くはるか


次の瞬間

潤平がはるかをギュッと抱きしめる

潤平の胸の中で
そっと目を閉じるはるか


はるかへの気持ちが
止まらない潤平

そんな潤平に
惹かれ始めているはるか


月の明かりが
二人を優しく照らしている