やっぱり、そうなのね。

 「私にはやっぱり、父の冷酷な血が流れているのね」

 「違う。そんなことは関係ない。お前がいくら口調や雰囲気を変えようとも、中身は……二年前のままだ」



 くらくらした。
 ガツンと大きな金属の塊で頭を打たれたような感覚。



 「……確かに……この二年、なんともなかったわ。ただ、この世界で生きていただけ」

 「俺はあの時、『お前に居場所を与える』と言った。けど、ここに、お前が望む"居場所"があるのか」

 ……!

 「俺はそう思う。お前はもてはやしてんだ、自分の人生を。だから、お前に彩りを与えたい」

 「彩り……?」

 「ああ、彩り。お前はどうも、世に未練がないらしい。ならば、俺が未練になってやる。だから、婚約しろ。そして俺を好きになれ。どうしようもないほどに惚れろ。お前はもともと自殺してこっちの世界で生き返ったんだ。その命、俺に捧げてみねえか」