僕は君を守る。

そう決めたんだ。


「すごく楽しい。」

君が微笑む。

まるで桜の花びらが風に揺すられて

どこかへ歩いていくような

そんなことを思ってしまう。

君が微笑むと、

必ず雨が降る。


「また雨。」

そして君はまた笑う。


君が笑うとやってくる。

君には説明できないけど、

君にも、僕にも

良いことは何もない。

そんなやつなんだ。


僕だけならいいのだけど、

君にまで手を伸ばす。


真っ黒なその手で真っ白な君を。

触るなよ。



君のことは僕が守る。


「嘘つき。」

ああ。

「嘘つき。」

ああ。泣いてる。

「ずっと一緒だって言ったのに。」


ああ。よかった。

「どこへも行かないって言ったのに。」


もうあいつ君の所へは来ないからね。


「居なくならないで。」

君が泣く。

君が笑うとやってくるあいつを

僕が連れて行くから

もう気にせずに笑っていてと

そう思ったのに

君は泣いている。


どうして泣くの。


僕が君を守ったじゃない。



「笑ってよ。」

君がふんわりと笑ってみせる。

目から涙を零しながら。


もう僕にはよく見えないけれど

きっと、桜の花びらみたいに。



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