それは文化祭も終わった秋真っ盛りの、
とある放課後ーーー




私は一人、教室で帰る準備をしていた。



すると教室の後方で複数女子の声が聞こえてくる。


『透くん、そのギターかっこいい!!文化祭で使ったやつ?』


『この前のライブハウスで弾いてた透くん、かっこ良かったよ!!!専門も音楽の方なんでしょ?素敵っ!!』


『普段はギター持ち歩いてるの?どんな曲弾くの?やっぱりロック?』


『ねぇねぇ!お願いだから一曲でいいから弾いてみて!』


『あ!アタシ、そのギター弾いてみたい!!透くん、アタシにちょっとだけ弾かせてもらえない?』



そんな賑やかで華やかな声を私は一人、背中に受けていた。



すると。



『それはダメ。』



と、高橋くんの穏やかだけどハッキリ制する声が聞こえてきた。