「ねえ、マリーちゃんとツバサ先輩って
やっぱり仲良いの?」



地下の通路を歩きながら私が聞くと、
横を歩いていたマリーちゃんが「へっ!」みたいな声を出してつまずきそうになったのが見えた。


「え~悪いよ?!いつも私のこといじめるし!
ミラクのお兄さんじゃなかったら絶対に
関わらないもん!」


「ミラクちゃんって魔女じゃなかったっけ」



私が首を傾げていると、前を歩いていた
ジュリーちゃんが「そうよ」と答えてくれた。




「ミラクのお母さんって気まぐれっていうか、
色んな人と結婚してて、ツバサ先輩のお父さんとは連れ子同士の再婚だから血は繋がってないみたいよ」

「そうそう!先輩も無駄に複雑で面倒くさい
って言ってたもんね~! 」




じゃあ先輩は、妹やお母さんを殺されたんだ。

魔女狩りで。




「魔女狩りのときは何とも思って
なさそうだったわよ。血は繋がってないから
どうでもいいとか言って」




ジュリーちゃんの言葉に、マリーちゃんは
首を横に振った。



「それは嘘だよ。あのとき皆がいなくなった後、ツバサ先輩が泣いてるのを見たんだから」


「へえ、ツンデレなのね。ジョニーとは逆で」




ジュリーちゃんがジョニーの名前を出したとき前を歩く二人の男子がちらりと私の方を見た。




「ジョニーくんはどんな人なの?」





この質問には、二人の男子のうちの一人が
答えてくれた。




「鬼って知ってるだろ、まさにそれだよ。
とにかく強くて怒ると何しでかすか分からない。だから皆からは怖がられてたな……でも
仲良くなった奴にはかなり素直」




答えてくれたのは悪魔のリルガくん。


少し癖っ毛の明るい茶髪と整った顔立ちが
私の友達が好きなアイドルによく似ているから
覚えてる。



かっこいいだけじゃなく頭が良くて、
サッカーも上手いらしい。

成績が良いから飛び級を勧められてるなんて
ことも女の子たちが言っていた。




「ジョニーくんって鬼なんだ……やっぱり
パンツの柄はトラ柄だったりするの? 」




私がそう言うと、リルガくんはあからさまに
嫌そうな顔をした。




「し、知らないよ。あいつのパンツの柄なんて」


「いやべつに深い意味は無いんだよ?!私が
そういう趣味とかは断じて違うよ?!ただちょっと気になったっていうか!! 」


「気になったの……?ジョニーのを……?」


「違うからね?!」




今リルガくんは絶対に私のことを変態だと
思ってる。

確かに目の前の女子が男の子のパンツの柄を
聞いてきたらそれは引く。

ドン引きだろう。
引きすぎて地球一周してまた戻ってくるくらいにドン引きしていることだろう。


違うんだって!
きっと文化の違いから起こった事故だよ!
貿易摩擦だよ!!

よく鬼がトラ柄のはいてる画像あるじゃん!

本物の鬼に会えるなら本当にトラ柄かどうか
気になるじゃん!!

鬼のパンツは本当に良いパンツで強いのか
どうか気になるじゃん!!

本当に百年はいても破れないのか気になるじゃん!!


もうこの文章だけ見たら本当に私はただの
変態だよ!!

リルガくんが私を女の子を見る目から
変態を見る目に変わってるよ!!





「いやあの、本当に違うんです私だけじゃなくて人間なら誰でも思うことなんです」


「お前ら人間は鬼のパンツがそんなに
気になるんだな……引くわ……」


「更に誤解されちゃった?!」