「あれーきみ一人? よかったら俺らと
遊ぼーぜ」
どこかで聞いたことのある言い回しが聞こえてきたので顔を上げると、
入口の両端にもたれるようにして、
男の子が二人立っていた。
「……悪魔?」
二人とも、私より少し年上のように見える。
どちらも綺麗な顔立ちをしてるけど、
頭からは赤紫色の短い角が二本 生えていた。
私はあの変な日記に書いてあったことを
思い出した。
確か魔女狩りをしてるのは悪魔たちだと
書いてあった。
この二人は、今シャンデリアの下にいる
サキハラの仲間かも。
で、私今ナンパされたのか、悪魔に。
「ごめんなさい、急いでるので……」
私もありがちなセリフを言い残し、
その場を立ち去ろうとした。
「つれないこと言うなよー、悪魔の中で
一番強くてかっこいい俺が誘ってんだぜ?
こんな機会めったにねえぜ?!」
金髪の、右目に刀傷がある軽そうな方の
男の子がそう言って、私の肩を掴んだ。
彼がかっこいいのは確かなんだけど、
性格に物凄く問題がある気がする。
「黄衣ちゃん、この子すごく引いてるよ。
ドン引きしてるよ。やっぱりナルシストは
うざいよかなり」
もう一人の、黒髪の大人しそうな人が言った。
まるで死体のように青白い肌をしていて、
瞳の色が緑だ。
そして彼は私の方を睨んで言った。
「きみも、何で断るの? まさかナンパ慣れてるの? 男慣れしてるの? だから普通に断れちゃう感じ? 何なの、馬鹿にしてる?」
「いや、別に馬鹿にしてるわけじゃ……」
何だろう、この人も見た目はかっこいいけど、
性格がすごく残念だ。
今度は黄衣ちゃんと呼ばれた方が、
緑目の人をなだめ始める。
「おいやめろよ翠!俺がかっこいいからって、ひがんでんじゃねえよー!」
「は? 黄衣ちゃんなんかにひがんだことなんか一度もないよ? そんなに僕に不愉快な思いを
させたいの? 死ぬ?」
翠くんと呼ばれた緑目くんと黄衣ちゃんは、
なぜか私を放置して言い争いを始めてしまった。
勿論 黄衣ちゃんは私の肩を持ったまま。