「帰ろっかな……」


気合いを入れた私はゆっくりと腰を持ち上げ、行きかう人波に乗る。



「す、凄い人……」



大会が終わり、一斉に帰り始めるせいか混雑してなかなか前に進まない。

少しずつ進みながら周囲に視線を走らせると、老若男女、色んな人達がいた。


孫でも応援しに来たんだろうか。

年配の人もいれば、サーフィンに興味があってこれから始めるんだろうな、っていう十代の若者もいる。


海の近くに住んでいるにも関わらず、今まで興味もなかった私は、何だかここにいるのが場違いなような気がして、少し恥ずかしくなった。



……サーフィン、自分では出来そうにないけど、たまに見に行きたいかも。


そんな小さな興味が芽生えた時。


「ねぇ!あれ、瀬戸 大晴じゃない!?」


すぐ隣にいた若い女の子が声を上げた。