「終わっちゃった……」
瀬戸くんに釘付けになっていた私は、瀬戸くんの演技が終わったにも関わらず、ボーっと海を眺めていた。
まるでまだ瀬戸くんが波の上にいるような気がして、海から視線を逸らすことが出来ない。
そんな私を覚醒させたのは、会場のアナウンスだった。
瀬戸くんの得点が出たらしい。
「良かった……」
点数は千堂さんに数点届かなかったけど、無事準々決勝に進むことが出来たみたいだ。
ひとまずホッと安堵の溜め息を吐き出す私。
……ホントにコレ、心臓に悪い。
これがあと何回も続くのかと思うと憂鬱になる。
それでも帰ろうと思わないのは、瀬戸くんのサーフィンを見ていたいから。
惹き付けて止まないあの最高の姿を、ずっと見ていたいから。