千堂さんの演技はやっぱり凄かった。
繊細で優美で華やかで。
息を呑むほど綺麗な演技。
本当に見る者を魅了する完璧な演技だった。
当然、点数は大会トップ。
沸き起こる歓声は、演技をする前よりも凄かった。
瀬戸くんはこの歓声のあとに演技をしなければいけない。
私なら緊張とプレッシャーで絶対失敗しそうだ。
瀬戸くん、頑張って……
『エントリーナンバー52、瀬戸 大晴』
スピーカーから聞こえてきた名前に一旦落ち着いた鼓動が一気に飛び跳ねた。
ドクンドクンと痛いぐらい主張する鼓動は、瀬戸くんの姿を確認した途端そのスピードを速めていく。
瀬戸くん……。
千堂さんに負けないほどの歓声はあの女の人の言葉を十二分に表していた。
瀬戸くんが千堂さん二世と言われている程の才能の持ち主だということを。