「舞嶋さん・・・・誤解してるみたいだけど、白河くんとは何も無いのよ?
あの日だって、たまたま私が困ってるところに白河くんが出くわして、放っておけなくて助けてくれただけなの。
そういう・・・優しい人だって事は、舞嶋さんが一番良く分かってるはずでしょ」

「・・・・・」


「だからお礼でコーヒー一杯ご馳走しただけなのよ。それだって、飲んだらすぐに別れたんだから。だから、舞嶋さんの心配する様なことは何も無いのよ」


「よくそうやって嘘がポンポン出てくるね」

「嘘なんかじゃ・・・」

「私がどうして先生の家、分かったと思う?」




そうだ。

どうして・・・・



「まあ、調べればそんなのすぐ分かるけど、調べたわけじゃない。慧が教えてくれたのよ」

「白河くんが?」

「慧がそんな事教える訳無いって?」

「違う・・」

「すごい自信。自分は慧に守られてるって思ってる」

「そんな事っ」

「確かに慧はそんな事教えてくれない。先生とはなんでもないって言ってるしね。教えてくれたのは慧のスマホ。慧、こないだ先生の家に来たでしょ?」



あの夜の事を言っているのだ。

どうして、それを・・・



「便利だね、GPSって。ねえ・・・あんな時間に、一体何してたの?」

「・・・・・・」

「言えないような事・・・・?」


言わなければ。

違うと。

あなたが思っているような事は何もないと、言わなければ。




「確かに、白河くんはあの日うちに来たけど・・・・別に何も無くて・・ただ、学校の・・・ことで・・・・・・ただ、相談に・・・・」



上手く言葉が出ない。


姫華の、こちらの胸が痛くなるほどの切実な顔を見ていたら



上手く、喋れないのだった。


だって、それは結局



嘘。



何もないだなんて、嘘。


なんとも思ってないなんて・・・・


嘘だから。