鼻先をかすめるのは

春とも夏とも言えない真ん中の匂い。

5月になった。

マフラーも手袋もしなくなった。

変わったことと言えばそれくらいだろうか。

いつもと変わらない学校への街並み。

電車の中から四角く見えていた空を

もう1度見上げてみる。


ここ何日か雨が続き久しぶりの青空だった。

よかった晴れて。洗濯物がやっと乾く。


そんなことを考えていたからか、
空を見上げていたからか、
いつの間にか足が止まっていた。

足早に歩いていく他の学生に続いて目の前にそびえた校門をくぐるのだった。