「おはよう」
「おは・・・!!椿ぃぃいいいいい何だその髪は!!
あ・・・あんなに綺麗な黒髪がっ・・・あんなに長くてサラサラの黒髪が・・・あんなにキリッとしていた眉毛が・・・あんなに柔らかかった頬が・・・・・・・!!
そんなに脚を出すなー!!そんなに肩を見せるなー!そんなに・・・っそんなに笑顔を見せるなー!!」
楓が数日の間できれいさっぱり変わった椿を見て叫んだ
叫ばれた椿は少しだけ「エヘ」とはにかむと楓の前でクルッと回り楓に向き直ると染めたての明るい茶色の巻き髪を少し揺らした
「かわいい・・・かな?」
「かわいいかわいい!!
も――っありえない絶世の美女だ!!」
「ありがと」
「でも・・・椿ぇ今まででも充分可愛かったのにそんなに綺麗になったら変な虫が・・・虫が虫が・・・・」
何かにかれたかのように楓が真っ青な顔をしてブツブツとつぶやき始めた
「へへっ♪楓・・・ありがとう
ちゃんと楓との約束守るからね」
椿が話しかけるものの楓は椿の小さな手を握り締めながら「俺もときわ学園行けばよかった」などと後悔しまくっている様子で俯いたまま項垂れた
「楓は近城でバスケやるんだー!ってずっと言ってたじゃん!
それに・・・楓はできれば居ないほうがいい」
「ぇ」
一瞬にして打ちひしがれた楓の頭を椿がそっとなでると楓は子犬のような目で椿を見た
「大好きだから甘えないようにだよ」
椿のその言葉を聞くと楓は一気に顔を上げて椿の頬を自らの顔に寄せ、チュッと軽いリップ音を立てて椿の頬にキスをした
「行ってきます」