「こちらは構いません。専門職の方にしていただけるのなら間違いないないでしょう」


これで交渉は成立した。後でお父様にテレパスど飛ばして、千沙さんにでもあの緑色の機械を渡してお願いしよう。

すると姫は「どういうことですの?」とあたしに問いかけた。


「それは先に聖獣を見つけ出して封印するということですの?」


あたしは首を横に振った。


「この機械のことが分かれば、これがどういう意味を持っているのか分かるはずです。そうしたら、この機械を使った人のことも分かるかもしれない」


なぜ聖獣が解き放たれたのか。

なぜ聖獣に機械が付けられているのか。

誰が何のために聖獣を解き放ったのか。

それが分かればきっと、聖獣を苦しめなくて済む方法も分かるはずだ。


「初めて姫にお会いしたときに、言いましたよね。あたしは魔物を傷つけたいとは思っていないと」


魔物退治屋の娘として育ってきたあたしだけど、決して魔物が憎いとは思っていない。

傷つけたくて傷付けているわけじゃない。

抱える矛盾は、言葉では表しにくいのだけど。


「苦しんでいる魔物を救ってあげたいのです」


それがどんなに偽善的か、分かっているつもりだ。

それなのに魔物退治屋なんてやっているんだから。

でもどちらも本音なんだ。本当なんだ。

暴れているのがあの機械のせいなら、それから助けてあげたい。そのための手段が知りたい。