翔太から魔石ガーネットを受け取ると、あたしは杖を手のひらのそれに向かって掲げた。


「"力を秘めし石よ 我に応答せよ"」


するとガーネットは赤く光った。

あたしは翔太の顔を見た。翔太は黙ったまま頷いていた。


「"聖獣チンロンをこの地に封印し

この国に永久の幸福を与えよ"」


子の言葉に反応したらしいガーネットはより一層強く光った。

その光が消えたと思うと、ガーネットから水がしたたり落ちるように赤い光が零れ落ちていく。

それが地面にまで流れると、線になって地を這い、ぐったりしているチンロンを囲むように大きな円を幾重にも重なって、封印の魔法陣が浮き上がる。

それはチーリンを包み込んだ結界魔法の陣と同じものだった。


「"結界魔法"!」


ぱあっと強く明るい光が辺りを包み込んで、そのあまりの眩しさにあたしは腕で目を覆った。


しばらくしてもう一度辺りを見渡すと、さっきまでそこにいたはずのチンロンはどこにもいなかった。ただ地面に複雑な白い魔法陣があるのを見つけて、それはチンロンが封印されたことを示す証拠でもあった。



「封印、できた…」


あたしはほっとして白い魔法陣の前に座りこむ。


「由良!」


突然座り込んだあたしを心配してか、翔太が駆けつけてあたしの肩を抱く。