「チーリンにもつけられていて、チンロンにもつけられてるってなったら…これは他の聖獣にもつけられていると考えてもいいだろうな」


翔太の声は至って冷静だった。


「このこと、うちの当主にも報告した方が良いのかもしれない。お父様なら何か分かるかも」


あたしの言葉に翔太は頷いた。


「ああ、あの方なら何か分かるかもしれないな」


お父様は翔太にとっての師匠にもあたる。翔太が前当主から何も教わらないまま当主になることになってしまったので、当主としての心得をお父様に教えてもらっていたのだ。

翔太がお父様に寄せる信頼は大きい。



「それに外から見ている人の方が気づくこともあるだろう」



緑の機械を握りしめて翔太はそう言った。


「とりあえず、チンロンを封印しないと」

「ああ、そうだな」

翔太はポケットから深い赤色の魔法石ガーネットを取り出した。

ガーネットはまるで宝石みたいに怪しく光を反射し、独自の存在感を放っている。


「これってどう使えばいいの?」

あたしが尋ねるけど翔太は首を傾げた。


「知らねぇよ、今日初めて存在を知ったものだ」


翔太の言葉はもっともだ。

けれどこの魔法石が使えなければ、チンロンを封印することはできない。


「普通の魔法石を使うのと同じようにしてみればいいんじゃねえか?やってみる他ねえだろ」