「これくらいなんともないよ」
あたしは笑って見せたが、翔太は厳しい表情をしたままあたしの頬を撫でる。
「怪我しやがって」
どうやら蔓が巻き付いてきたときに頬が少し切れたらしい。けれどそんな軽傷、あたしにとっては怪我のうちに入らない。
「大丈夫だよ。平気」
そう言って笑って見せても、翔太は笑わない。
「ここは、どこだろう」
あたりを見渡すと、木々が生えているものの剥き出しの地面が寂しい広い場所に降り立っていた。
よく目を凝らすと遠くに土か岩でできた塔のような建物がいくつも見える。
「まさか、ここはラティスタ遺跡か?」
翔太は呟いた。
その可能性は高かった。方向的にはラティスタ遺跡の方に向かって飛んでいたから。
「ラティスタ遺跡なんて、あたし初めて来たよ」
「ああ、俺もだ」
ふたりして遺跡の様子をじっと見ていた。
ラティスタ遺跡は国宝級のものがいくつも発掘されている遺跡で、遺跡自体が歴史的価値を持つとして国宝に認定されている。
あたしたち一般市民が気軽に立ちいれるような場所ではない。
そんなわけで初めて降り立ったラティスタ遺跡は人っ子ひとりいない寂しい場所だった。
冷たい風がざあっと吹き抜けて、遺跡を囲むような沢山の木々が風に揺れている。
「それにしても、何で急に蔓が伸びてきたんだ」
翔太の呟きにあたしははっと思いだした。
あたしは笑って見せたが、翔太は厳しい表情をしたままあたしの頬を撫でる。
「怪我しやがって」
どうやら蔓が巻き付いてきたときに頬が少し切れたらしい。けれどそんな軽傷、あたしにとっては怪我のうちに入らない。
「大丈夫だよ。平気」
そう言って笑って見せても、翔太は笑わない。
「ここは、どこだろう」
あたりを見渡すと、木々が生えているものの剥き出しの地面が寂しい広い場所に降り立っていた。
よく目を凝らすと遠くに土か岩でできた塔のような建物がいくつも見える。
「まさか、ここはラティスタ遺跡か?」
翔太は呟いた。
その可能性は高かった。方向的にはラティスタ遺跡の方に向かって飛んでいたから。
「ラティスタ遺跡なんて、あたし初めて来たよ」
「ああ、俺もだ」
ふたりして遺跡の様子をじっと見ていた。
ラティスタ遺跡は国宝級のものがいくつも発掘されている遺跡で、遺跡自体が歴史的価値を持つとして国宝に認定されている。
あたしたち一般市民が気軽に立ちいれるような場所ではない。
そんなわけで初めて降り立ったラティスタ遺跡は人っ子ひとりいない寂しい場所だった。
冷たい風がざあっと吹き抜けて、遺跡を囲むような沢山の木々が風に揺れている。
「それにしても、何で急に蔓が伸びてきたんだ」
翔太の呟きにあたしははっと思いだした。