嬉しかった。
ただ、純粋に。
「伊吹君、そんなこと覚えてたんだ」
私も、小さい頃ここで誰かと会ったような気がしたけど、そこまで正確には覚えてはいなかった。
「俺のこのお守りの中身は、先輩のビー玉が入ってるんです」
伊吹君の袋から取り出したビー玉には、確かに見覚えがあった。
「ありがとう、覚えていてくれて。でも、なんでその話を?」
「……俺、先輩に話さなきないけないことがあるんです」
真剣な目。
何を言うの?
まさか、わ、別れ話し?
伊吹君は意を決意したように口を開いた。
「俺、アメリカに行きます」