さすが決勝戦ってかんじの大きな会場。 「懐かしいな」 ここは、私の思い出の場所なんだよね。 ベンチの近くの時計台の下にしゃがむ。 「お父さん……」 私のお父さんは、サッカー選手だった。 10年前に亡くなった、伝説の選手。 「篠原先輩」 ふと、聞きなれた声がした。 今1番会いたくて愛しい人。 「伊吹君……?どうして?」 伊吹君だった。 バスに乗ったんじゃなかったの?