全校生徒の大絶叫が響き渡った騒がしい朝となった…
誰のせいだと一瞬考えたが、私のせいだった。
騒がしさに、腹が立ち先に家に帰ることにした。仁美に、担任に伝えてもらうように話をして、山本?とかいう男の話は、翌日ということで決着がついた。
家に帰れば、優希さんの近くにいられると舞い上がっていた私は気づかなかったのだろうか。
こんな自分の失言と失態をしてしまう日ほど、よくないことが起こるものである。本当に…
例えば、今のような。
「勇斗くぅ~ん♡」
「今日ぉ、どこいこっかぁ~♡」
香水まみれになったクッサイ女たち。
そんなクッサイ婆共を引き連れた長身野郎。
取り敢えず、身長を寄越してもらいたいものだ。ちなみに私の今の身長は153cm。高校一年生ともなろう歳なのにこの身長は何故私の言うことを聞いてくれないのだろうか…憂鬱な気分になってくる。
よくよく見てみると、香水女は知らないが、長身男は、うちの学校の制服を着ていた。ここで考え付いたのが、近寄らず去っていくことと…
…いや、それだけしか考え付かなかった。
私の頭は何処まで馬鹿なのだろう。
「勇斗ゎさ、波高生なんでしょぉ~?こんなとこでぇ、うちらと駄弁ってていいのぉ?」
なんだこの頭の悪そうなしゃべり方は。ギャルの癖に駄弁るとか抜かしおって…
私のキャラが可笑しくなりそうな瞬間だった。
「おねーさんたちには、関係ないっしょ?」
「つか、勇斗…あの子も波高生っぽいけど大じょーぶ?」
そう言って、ギャルのうちに一人が指を指したのは、私の方だった。というか…
いや、考えるのは止めよう。帰ろう。うん、帰ろうか。
そう考えた後の私の行動は素早かった。優希さんに結んでもらった二つの髪の束を揺らし、集団に目もくれず、駆け抜ける。
だから気づかなかったのだ。
こちらを向いた勇斗と呼ばれた長身男が、私の方を見て、名前を呼んでいただなんて…。