俺は何も言い返せなかった。


本当は自分では分かっていた。
自分の気持ちに。

そして、彼女の気持ちも。


西宮さんは俺じゃない方がいいと思った。それに、俺には美咲がいる。

だから、気持ちを押しつぶしていた。


「みずきのこと、頼むな。」

「分かった。」


龍司は言わなくても俺の気持ちが分かる。

いつもそうだった。

俺が落ち込んでる時も、周りには笑顔振りまいて、何事もなかったようにしてるけど、
本当はかなり苦痛で泣きそうになりそうなことがあった。

その時に、龍司に、
「強がるとしんどいぞ。」

その一言。

人の前で泣くなんて恥ずかしいと思っていた。

でも、龍司の前で泣いて、気持ちがスッキリした。