それから約一週間。
時間が経つのが凄く遅く感じられた。
この日をどれだけ楽しみにしてたか。


「....では、木管楽器を吹きたい子は私
に、金管楽器を吹きたいこは副部長に
ついていってください」


「「はい!」」


待ちに待った、部活体験の日。
30人近くが見学にきていて、音楽室が
いっぱいになっていた。


知ってる子は... 優香ぐらい。他の子は
、その他の子と話したりしている。

なんなの。
みんなコミュ力高過ぎでしょ。



「金管にいきたい子、もういませんか
?」


「あ、はーい!」


音楽室を出て、副部長についていって
楽器ごとの教室に案内された。

移動中、あまりにもみんなが話をして
て1人寂しくなった。


「(独りの子にでも話しかけてみようか
な)」


大勢の中に混ざっていくのはちょっと
無理だけど、さすがにそれぐらいなら
私にだってできる。

私は思いきって、隣にいる子に話しか
けてみた。


「私、橋本美音って言うの!
あなたは?」


笑顔、上手くできてるかな。


少し不安になったが、相手はちゃんと
返してくれた。


「日下 桃子。よろしくね」


「桃子ちゃん、か。
あ、私のことは美音って呼んでね!

桃子ちゃんは、何の楽器吹くの?」


「桃子、でいいよ?

一応トランペット。でも下手だから...」


「大丈夫!私も下手だから。

...あ、ホルンきた。じゃあね、また後
で話しようね!」


「うん!」


桃子はトランペットの教室に行くみた
いだったので、そこで別れて小さく手
を振った。

ホルンの教室の前で深呼吸。

とりあえず話ができた。
なんか新鮮で、新鮮で。

友達って作るのってこんなに難しかっ
たっけ。

桃子がいい子でよかった。

喜びに浸りながらドアに手をかけ、開
いた。


「失礼します!よろしくお願いします
!」