「…とりあえず、デートでもしてみる?」
「え、何で?時間の無駄じゃない?」
「………俺、今結構来た……」
「大丈夫、私もさっき来たよ、逢沢の言葉」
「うるさい、これはダメージの量が違うでしょ」
ダメージって。
「俺とデートすんの嫌なの?」
「だって一緒にいて“楽しくない”私とデートしたってね」
「根に持つなよ…大体、あんただっていつも俺といるのつまんないって顔してるじゃん」
「うん、よくわかったね」
「………………」
私の言葉に顔を青ざめる逢沢。
もうだめだ。私達は、恋人でいるべきではないんだ。
「協定とはいえ、せっかく付き合うんだから楽しくいこうよ」
それは私の台詞である。
そのために私がどんだけ今まで逢沢に話かけてきたか‼
キーンコーンカーンコーン
うわ、このタイミングでチャイムって。
「とにかく、今週の土曜日あんたは俺とデート。これでいい?」
「……まあ、いいけど」
「じゃ、詳しいことはまた後で」
「うん」
こうして、私と逢沢は何とも言えない空気の中、デートに行くことになりました。
「へえーついに奈々達もデートかあ‼やったね‼」
さっきの出来事を夏菜に報告すると、夏菜はとても嬉しそうに笑った。
実際にデートをする、私よりも嬉しそうに。
他人の幸せを自分のことのように喜べる子なんだなー。
いや、別に私幸せじゃないけど。
「初デートの服は決めてるの?やっぱ悩むよね、私も一緒に考えてあげるよ‼」
「え、いつも通りだよ、Tシャツにジーンズとパーカー…」
「あほかあ‼初デートだよ!?もっと気合い入れて行きなよ‼恋人に私服見せるんだよ!?」
なんで、この子はこんなにはりきってるの?
「今日、服買いに行こう‼」
何故か放課後、ショッピングに行くことになった。