「……………」
逢沢は目の前に置かれたグラタンをじっと見つめている。
どーしたんだろ。
「ねえ、食べないの?」
「まだ熱い」
え、これってさ。これってさ。
「逢沢猫舌なの?」
「う…」
「ブフォッ」
「うん、ぐらい言わせてよ」
あ、ごめんごめん。
「案外かわいんだね」
「可愛くない。てか、可愛いとか言われても嬉しくないから」
「とか言いながらー?」
「ほんとはー?」
「「嬉しくて仕方なーーい!!!」」
…………なんか、周りの人に見られてる。
息ぴったしとかわろた。
このネタ最近はやりの芸人のやつなんだけど。
まさか逢沢が知ってるとは。
「…あんたのせいで恥かいた」
「乗ったのは逢沢じゃん」
「乗ってあげた、の」
「はいはい」
私が適当に返事をすると、逢沢はむすっとしながらグラタンを食べ始めた。
「…っ…あつっ」
………逢沢は何だかんだ、可愛いやつなのかもしれない。
「てゆーかさ」
「何でしょう」
「あんた、図書館で話してた人と連絡先とか交換してないよね?」
「……してないけど。しないけど」
あなたが私を引っ張ったから微妙な別れ方だったんだけどね。