有名なバイオリニスト...


澪の母がそうなのは知っている。

でも、澪がそこまでの人望だってことは
あたしは知らなかった。





「ところで」


マリアさんは怪しい笑みを浮かべている。



「あなたにはとても優しいボーイフレンドがいるようね」


そう言ってあたしに見せたのは一枚の写真...あたしが吾妻さんに抱きしめられている写真だった。



「ちがっ...」

「ちょうどいいわね。
私、あなたが目障りだったのよ」


マリアさんは惜しげもなく被せてきた。


「まぁ、あなたがどんなに澪を想っても勝敗なんて見えているのだけどね。

だって澪と私は、二人で一緒に夜を明かす仲だもの」




...っ!!



衝撃的だった。


まさかあの澪がそんなことをするなんて。


なにより、あの渋谷のときの澪を
マリアさんも知っていることに心が痛んだ。




「澪にこの写真見られたくなかったら
大人しく引き下がって頂戴」




マリアさんは去って行った。